レーティングは「対局結果から見た強さ」の目安
イロレーティング(Elo)は、勝敗をもとに強さを点数で表す方法です。同じ計算の枠組みでは、点数が高い人ほど勝ちやすいと考えます。段位やタイトルの数、将棋ソフトが示す局面の評価値とは別の指標です。
勝てば上がり、負ければ下がる。ただし、相手との点数差によって動く幅が変わります。強い相手への勝利は大きな上昇につながり、点数が低い相手への勝利では上昇が小さくなります。
同じ1勝でも、上がる点数は違う
Aさんのレートを1600として、相手だけを変えて比べてみます。「期待勝率」は対局前の点数から計算した目安で、実際の勝敗を保証するものではありません。
点数が高い相手に勝つほど、多くの点数が加わります。負けた場合も、相手の点数が高いほど下落は小さくなります。通常の1対局では、相手側にも同じ幅の増減が逆向きに生じます。
イロとグリコ、どちらを見ればいい?
どちらも勝敗から強さを推定する方法です。当サイトのイロは「点数」を、グリコは「点数と、その推定がどのくらい確かか」を見ると理解しやすくなります。グリコのランキングにはGlicko-2という方式を使っています。
たとえば、同じ1700でも、対局記録が少ない人と、多くの対局を積み重ねた人では、その点数を判断する材料の量が違います。グリコは、この推定の不確かさも計算に取り込みます。
「信頼度(RD)」は、小さいほど推定の幅が狭い
ランキングの「信頼度(RD)」欄は、数字が大きいほど信頼できる、という意味ではありません。RDが小さいほど、推定している強さの幅が狭いという意味です。RDは強さそのものでも、勝率でもありません。
1700付近という推定が、比較的絞り込まれています。
1700より高い可能性・低い可能性を、広く残しています。
そのため、グリコで上位に入っている人を見るときは、レートと一緒にRDも確認すると読み取りやすくなります。点差が小さくRDが大きい場合は、順位を厳密な実力差と受け取らず、まだ推定に幅があると考えてください。
日々の変化を見るならイロ、推定の幅も見るならグリコ
1局の勝敗でどれだけ点数が動いたかを追うなら、係数が一定のイロは仕組みを理解しやすい方式です。対局の少ない人の点数をどう見るか、同じ点数でも推定の確かさに違いがあるかを知りたいときは、グリコのレートとRDを合わせて見てください。
どちらが常に正確かは、方式の名前だけでは決まりません。当サイトでも、予測の正確さを比較して一方が優れていると確認した結果を示しているわけではありません。また、イロの1700とグリコの1700を同じ尺度とみなしたり、両方の差をそのまま好不調の大きさと解釈したりすることはできません。
初期レートは、全員一律1500ではありません
ここからは当サイトのイロレーティングの詳しい条件を説明します。まだレートがない人の最初の計算には、出発点となる点数が必要です。イロでは、所属区分の基準レートを使います。
「基準レート」はどう動く?
個人のレートとは別に、「奨励会員」「アマチュア棋士」「女流棋士」などの区分を代表するレートを設けています。本人の個人レートで扱わない対局では、その区分をひとつの対局相手とみなして勝敗を反映します。基準レートは、その区分に属する全員の平均を直接求めた値ではありません。
全履歴の計算を始めるときは、これらの区分の基準値を1500に置きます。その後は対局結果で動くので、後から登場する人の初期レートも変わります。棋士の計算と女流棋士の計算では、基準レートも別々に管理しています。
奨励会員との公式戦と、プロ入り後の再計算
棋士の棋戦に奨励会員が出場した場合、棋士として未登録の人は「奨励会員」の基準レートを相手として計算します。三段リーグ内の個人レートを、この対局の相手レートとして使うわけではありません。
プロ入りした時点で、それまでの公式戦を捨てて一律の点数に戻す仕組みではありません。一括再計算では、奨励会員として記録されていた対局も、実名が登録済みの棋士に一致すれば本人の対局として扱います。最初の対局時点の「奨励会員」の基準から、その後の結果を順に積み上げ直します。
そのため、再計算後は本人だけでなく、対局相手やその後の履歴のレートも変わることがあります。棋士登録だけで過去の数値が即座に書き換わるわけではなく、全履歴の再計算を反映した段階で変わります。
三段リーグのレートとは別です
奨励会レートランキングは、三段リーグ内の対局結果から個人ごとに計算する別のレートです。こちらは各人1500から始まり、プロ入り時にその点数を棋士ランキングへ移す処理はありません。
女流棋士・アマチュア棋士はどう扱う?
女流ランキングと、棋士の棋戦への出場は別々に計算
女流棋士の通常レートは、女流の対局記録から計算します。一方、棋士の棋戦に女流棋士が出場した対局では、棋士側の通常レートは「女流棋士」という区分の基準レートを相手として動きます。
それとは別に、登録済みの女流棋士には、棋士の棋戦での対局結果から個人レートも計算します。この個人レートが、棋士側の通常レートの計算に置き換わって使われるわけではありません。女流棋士本人の通常レートとも別管理です。
アマチュアも「区分」と「個人」を分ける
通常レートでは「アマチュア棋士」の基準値を使い、人物が登録されている場合は、その人自身の対局結果による個人レートも別に計算します。
アマチュアや女流棋士のこの個人レートは、計算済みの個人値があればそれを引き継ぎ、最初はその対局の計算前の基準レートを使います。アマチュア対女流など双方に個人レートがある場合は、個人同士の値で計算します。この補助的な計算で、相手の通常レートをもう一度動かすことはありません。
どの対局を、どの順番で計算する?
当サイトに登録された対局履歴を使い、棋士の記録と女流の記録をそれぞれ対局日順に計算します。同日は棋戦の並び順、さらに記録ID順です。前の対局で動いた点数が、次の対局の出発点になります。
アマチュアの個人レートは棋士側・女流側で共有しますが、計算順は棋士の全記録、その後に女流の全記録です。両方の対局日を混ぜて並べ直したり、重複記録を自動でひとつにまとめたりする処理はありません。
過去の勝敗の訂正や人物の登録変更を反映する場合は、全履歴を再計算します。元の対局記録や計算順が変われば、現在のレートも変わることがあります。
他サイトと点数が違うときの見方
同じ「イロレーティング」という名前でも、計算に使う条件が違えば結果も変わります。他サイトの値と比べるときは、次の条件をそろえて確認すると違いを理解しやすくなります。