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イロレーティングの仕組みと当サイトの計算方法

レーティングは「対局結果から見た強さ」の目安

イロレーティング(Elo)は、勝敗をもとに強さを点数で表す方法です。同じ計算の枠組みでは、点数が高い人ほど勝ちやすいと考えます。段位やタイトルの数、将棋ソフトが示す局面の評価値とは別の指標です。

勝てば上がり、負ければ下がる。ただし、相手との点数差によって動く幅が変わります。強い相手への勝利は大きな上昇につながり、点数が低い相手への勝利では上昇が小さくなります。

  1. STEP 1対局前の点数を比べるAさん 1600 / Bさん 1600
  2. STEP 2点数から勝ちやすさを見積もる同点なら、お互いに50%
  3. STEP 3実際の勝敗で点数を動かすAさんが勝つと 1608 / 1592
同点同士なら、勝者に8点、敗者に−8点。毎局この計算を繰り返します。

まず当サイトのイロレーティングを説明し、続いてグリコとの違いとRDの読み方を紹介します。初期値などは方式ごとに異なるため、分けて見てください。

同じ1勝でも、上がる点数は違う

Aさんのレートを1600として、相手だけを変えて比べてみます。「期待勝率」は対局前の点数から計算した目安で、実際の勝敗を保証するものではありません。

Aさん(1600)の対局前後の変化
相手のレートAさんの期待勝率Aさんが勝つとAさんが負けると
1400(200点低い)約76.0%+3.8 → 1603.8−12.2 → 1587.8
1600(同じ)50.0%+8.0 → 1608.0−8.0 → 1592.0
1800(200点高い)約24.0%+12.2 → 1612.2−3.8 → 1596.2

点数が高い相手に勝つほど、多くの点数が加わります。負けた場合も、相手の点数が高いほど下落は小さくなります。通常の1対局では、相手側にも同じ幅の増減が逆向きに生じます。

例の数値は小数第1位に丸めています。勝率はレート差で決まり、1600対1800でも、1800対2000でも同じです。

数式と計算条件を見る

自分のレートを R、相手のレートを R相手 とすると、期待勝率 E は次の式で求めます。

E = 1 ÷ (1 + 10(R相手 − R) ÷ 400)

新しいレート = R + 16 × (対局結果 − E)

対局結果は勝ちが1、負けが0、引き分けとして計算する場合が0.5です。変動の大きさを決める係数(K値)は全員16で、新人や対局数の少ない人も同じです。400点差なら、上位側の期待勝率は約90.9%になります。

計算のたびに小数第4位まで丸めて次の対局へ引き継ぎます。ランキングでは小数第1位で表示するため、表示値だけで計算するとわずかにずれることがあります。段位、タイトル戦かどうか、先手・後手による追加の補正はありません。

イロとグリコ、どちらを見ればいい?

どちらも勝敗から強さを推定する方法です。当サイトのイロは「点数」を、グリコは「点数と、その推定がどのくらい確かか」を見ると理解しやすくなります。グリコのランキングにはGlicko-2という方式を使っています。

たとえば、同じ1700でも、対局記録が少ない人と、多くの対局を積み重ねた人では、その点数を判断する材料の量が違います。グリコは、この推定の不確かさも計算に取り込みます。

当サイトのイロとグリコの比較
比べる点イログリコ(Glicko-2)
表示する値レーティング。レーティングと、推定の不確かさを表すRD。
1局で動く幅係数は全員16。対局前のレート差と勝敗で決まる。自分と相手のレート・RDなどで変わる。全員一律の変動幅ではない。
まだ対局の少ない人同じレート差なら、対局数の多い人と同じ幅で動く。RDが大きい間は、自分の点数が大きく動きやすい。
勝者と敗者の増減通常の1局では同じ幅で、逆向きに動く。増える点数と減る点数は、同じとは限らない。
計算の出発点個人は初対局時点の所属区分の基準値から。個人・区分とも1500、RDは350、変動性は0.06から。
長期間対局がないとき日数だけではレートを変えない。当サイトでは、経過日数だけを理由にRDを増やす処理は行っていない。

「信頼度(RD)」は、小さいほど推定の幅が狭い

ランキングの「信頼度(RD)」欄は、数字が大きいほど信頼できる、という意味ではありません。RDが小さいほど、推定している強さの幅が狭いという意味です。RDは強さそのものでも、勝率でもありません。

同じレート1700でも
RD 40:推定の幅が狭い

1700付近という推定が、比較的絞り込まれています。

同じレート1700でも
RD 120:推定の幅が広い

1700より高い可能性・低い可能性を、広く残しています。

そのため、グリコで上位に入っている人を見るときは、レートと一緒にRDも確認すると読み取りやすくなります。点差が小さくRDが大きい場合は、順位を厳密な実力差と受け取らず、まだ推定に幅があると考えてください。

Glicko-2は、成績の変動の大きさに関わる「変動性」も内部で計算します。当サイトの表には、レートとRDを表示しています。用語の説明は考案者によるGlickoの解説(英語PDF)とGlicko-2の解説(英語PDF)を参照しています。

日々の変化を見るならイロ、推定の幅も見るならグリコ

1局の勝敗でどれだけ点数が動いたかを追うなら、係数が一定のイロは仕組みを理解しやすい方式です。対局の少ない人の点数をどう見るか、同じ点数でも推定の確かさに違いがあるかを知りたいときは、グリコのレートとRDを合わせて見てください。

どちらが常に正確かは、方式の名前だけでは決まりません。当サイトでも、予測の正確さを比較して一方が優れていると確認した結果を示しているわけではありません。また、イロの1700とグリコの1700を同じ尺度とみなしたり、両方の差をそのまま好不調の大きさと解釈したりすることはできません。

当サイトのグリコの集計条件と、読み取れる範囲

登録済みの対局を日付順に並べ、1局ずつ計算し直しています。月単位などの期間に対局をまとめて更新する方式ではありません。同日の対局には、イロと同じ棋戦順・記録ID順の指定はありません。

一般的なGlicko-2には、対局のない期間にRDを増やし、推定が古くなったことを表す考え方があります。しかし当サイトは休場期間の長さを計算に入れていません。RDが小さくても、最近の対局で現在の実力を十分に確認できているとは限りません。

現在の集計は勝者側を先に更新し、その更新後の相手の値で敗者側を更新しています。Glicko-2の標準的な、同じ更新期間の開始時点の値を両者に使う計算とは異なります。

対象となる対局の条件もイロと異なります。グリコはメモが「不戦」と完全に一致する対局を除外し、先手勝ち以外の結果を後手勝ちとして処理しています。千日手・持将棋・引き分けなどの記録が含まれると、そのまま後手勝ちとして計算されるため、方式の違いだけで順位差を説明することはできません。

棋士のみ・女流棋士のみのグリコでは、奨励会員や女流棋士などの区分名で登録された対局は、その区分のレートで計算します。イロのように、プロ入りした人の実名に結びつけて過去の公式戦を本人の対局へ取り込み直す処理はありません。

棋士&女流の合同版は、両方の対局記録を日付順に合わせ、女流棋士などは記録上の実名を使います。ただし奨励会員は区分、アマチュアは棋士側・女流側に分けた区分で扱います。同日・同棋戦・同じ対局者の組み合わせを重複としてまとめるため、同じ日に同じ相手と複数回指した記録もひとつにまとまる場合があります。合同版も、全員の個人間の強さを同じ精度で比較できることを保証するものではありません。

棋士のグリコランキング / 女流棋士のグリコランキング / 棋士&女流のグリコランキング

初期レートは、全員一律1500ではありません

ここからは当サイトのイロレーティングの詳しい条件を説明します。まだレートがない人の最初の計算には、出発点となる点数が必要です。イロでは、所属区分の基準レートを使います。

棋士の最初の対局
その対局を計算する時点の「奨励会員」の基準レートから始めます。
女流棋士の最初の対局
原則として、その時点の「アマチュア棋士」の基準レートから始めます。奨励会出身者として設定している加藤桃子・伊藤沙恵・西山朋佳・福間香奈・中七海は、「奨励会員」の基準レートを使います。

「基準レート」はどう動く?

個人のレートとは別に、「奨励会員」「アマチュア棋士」「女流棋士」などの区分を代表するレートを設けています。本人の個人レートで扱わない対局では、その区分をひとつの対局相手とみなして勝敗を反映します。基準レートは、その区分に属する全員の平均を直接求めた値ではありません。

全履歴の計算を始めるときは、これらの区分の基準値を1500に置きます。その後は対局結果で動くので、後から登場する人の初期レートも変わります。棋士の計算と女流棋士の計算では、基準レートも別々に管理しています。

たとえば最初の対局時点で「奨励会員」の基準が1520なら、その人は1520から計算します。1500は計算の出発点であり、現在の棋士の平均値を1500に固定する仕組みではありません。対局実績のない現役の人にも、表示用として所属区分の基準値を補います。

奨励会員との公式戦と、プロ入り後の再計算

棋士の棋戦に奨励会員が出場した場合、棋士として未登録の人は「奨励会員」の基準レートを相手として計算します。三段リーグ内の個人レートを、この対局の相手レートとして使うわけではありません。

  1. 奨励会員として出場区分の基準レートで計算本人が棋士として未登録の間
  2. プロ入り・棋士登録後全履歴を再計算実名の登録をもとに過去の対局も照合
  3. 再計算した履歴奨励会時代の公式戦も本人の対局に最初の対局から個人レートを積み上げる
対象は当サイトに記録があり、実名を本人に結びつけられる公式戦です。

プロ入りした時点で、それまでの公式戦を捨てて一律の点数に戻す仕組みではありません。一括再計算では、奨励会員として記録されていた対局も、実名が登録済みの棋士に一致すれば本人の対局として扱います。最初の対局時点の「奨励会員」の基準から、その後の結果を順に積み上げ直します。

そのため、再計算後は本人だけでなく、対局相手やその後の履歴のレートも変わることがあります。棋士登録だけで過去の数値が即座に書き換わるわけではなく、全履歴の再計算を反映した段階で変わります。

三段リーグのレートとは別です

奨励会レートランキングは、三段リーグ内の対局結果から個人ごとに計算する別のレートです。こちらは各人1500から始まり、プロ入り時にその点数を棋士ランキングへ移す処理はありません。

女流棋士・アマチュア棋士はどう扱う?

女流ランキングと、棋士の棋戦への出場は別々に計算

女流棋士の通常レートは、女流の対局記録から計算します。一方、棋士の棋戦に女流棋士が出場した対局では、棋士側の通常レートは「女流棋士」という区分の基準レートを相手として動きます。

それとは別に、登録済みの女流棋士には、棋士の棋戦での対局結果から個人レートも計算します。この個人レートが、棋士側の通常レートの計算に置き換わって使われるわけではありません。女流棋士本人の通常レートとも別管理です。

棋士と女流棋士の通常ランキングは、対戦集団と初期値の基準が異なります。両方に「1700」と表示されていても、その数値だけで同じ強さと判断することはできません。

アマチュアも「区分」と「個人」を分ける

通常レートでは「アマチュア棋士」の基準値を使い、人物が登録されている場合は、その人自身の対局結果による個人レートも別に計算します。

アマチュアや女流棋士のこの個人レートは、計算済みの個人値があればそれを引き継ぎ、最初はその対局の計算前の基準レートを使います。アマチュア対女流など双方に個人レートがある場合は、個人同士の値で計算します。この補助的な計算で、相手の通常レートをもう一度動かすことはありません。

どの対局を、どの順番で計算する?

当サイトに登録された対局履歴を使い、棋士の記録と女流の記録をそれぞれ対局日順に計算します。同日は棋戦の並び順、さらに記録ID順です。前の対局で動いた点数が、次の対局の出発点になります。

  • 勝敗のついた対局は、勝ち・負けとして計算します。
  • メモに「不戦」が含まれる対局は、レートも計算対象の対局数も動かしません。
  • 「分」「千」「持」の結果で登録された対局は対象外です。千日手・持将棋を、一律に0.5勝として加える仕組みではありません。
  • 引き分け用の結果(d)として登録された対局は、双方0.5として計算し、対局数にも含めます。
  • 通常レートの計算上、両者が同じ名前・同じ区分になる対局は、その通常レートを動かしません。別人と判別できるアマチュアなどの個人レートは、別途計算する場合があります。

アマチュアの個人レートは棋士側・女流側で共有しますが、計算順は棋士の全記録、その後に女流の全記録です。両方の対局日を混ぜて並べ直したり、重複記録を自動でひとつにまとめたりする処理はありません。

過去の勝敗の訂正や人物の登録変更を反映する場合は、全履歴を再計算します。元の対局記録や計算順が変われば、現在のレートも変わることがあります。

他サイトと点数が違うときの見方

同じ「イロレーティング」という名前でも、計算に使う条件が違えば結果も変わります。他サイトの値と比べるときは、次の条件をそろえて確認すると違いを理解しやすくなります。

比較するときに確認したい条件と、当サイトの扱い
確認したいこと当サイトの通常イロレーティング
最初の点数区分の基準値は全履歴の開始時に1500。個人は初対局時点の所属区分の基準から開始。
1局の変動幅K値は全員16、レート差の尺度は400。対局数によるK値の変更なし。
奨励会員との対局本人が棋士として未登録なら区分の基準値を使用。プロ入り後の一括再計算では、実名が一致する過去の公式戦も本人として計算。
女流棋士・アマチュアとの対局通常レートには区分の基準値を使用。登録済みの人の個人レートは別途計算。
不戦・千日手・持将棋不戦と「分」「千」「持」は対象外。引き分け用の結果(d)は0.5で計算。
集計期間・更新状況登録済みの履歴を順に積み上げる方式。直近1年などの期間限定ランキングとは区別が必要。未登録の結果や訂正・再計算の反映時期も影響。

これは当サイトの条件を示した比較用のチェック項目です。特定の他サイトの方式や、その優劣を断定するものではありません。点数の大小だけで比べず、対象の対局・初期値・計算方式を合わせて見てください。

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計算方法の確認日:2026年10月17日。